研究シーズ

Last-modified: 2017-07-17 (月) 18:06:02 (70d)

教授 角田 良明, 准教授 大田 知行, 准教授 河野 英太郎,助教 井上 伸二,

  • 研究キーワード:アシュアランスネットワーク,児童見守りシステム,ユビキタスネットワーク,アドホックネットワーク,センサネットワーク,ネットワークセキュリティ,高度交通システム,ルーティング

研究テーマ

1. アシュアランスネットワーク設計原理とその応用

 ユーザからの異種でかつ変化する要求に対するディペンダビリティ,セキュリティ,適時性,適応性を満たす性質はアシュアランスと定義される.アシュアランスネットワークの実現には,耐故障,実時間,自律,移動,知識などの統合技術が必要とされる.アシュアランスネットワークは,ネットワークが大規模化しても,ネットワーク環境が変動しても,セキュリティに対する攻撃が存在しても,故障を引き起こすフォールトが存在しても,期待される情報通信サービスをタイムリーに実行するネットワークである.独立行政法人情報通信研究機構高度通信・放送研究開発委託研究/新世代ネットワーク技術戦略の実現に向けた萌芽的研究/アシュアランスネットワーク技術の基本概念と実証に関する研究を研究代表者らは2010年度に実施した.その成果として,アシュアランスネットワーク技術の基本概念を確立し,統一的な設計法を提案するとともに,児童見守りシステム等のトラスタブルな端末・インフラ・サービスアプリケーションへの適用事例を示すことにより,その概念の有用性を実証した.

 引き続き,2012年度から2014年度まで実施予定の科学研究費補助金基盤研究(B)「アシュアランスネットワーク設計原理とその応用」において,アシュアランスネットワーク設計原理を確立するとともに,見守りシステムなどに応用することにより,アシュアランスネットワーク設計原理の有用性を明らかにするために研究を推進している.

 アシュアランスネットワーク設計原理の応用として,遅延・切断耐性モバイルアドホックネットワークに基づいた展示評価情報伝搬・収集システムを開発し,ひろしま菓子博覧会の開催期間中の5日間に実証実験を実施した.本システムは,Android 搭載のスマートフォンやタブレット端末にアプリ「かしコミ」をインストールすれば,お菓子に関する評価情報を口コミ情報として入力すると,スマートフォンやタブレット端末がすれ違うたびに口コミ情報が伝搬されるものである.現在,実験データの解析を行っている.

2. 児童見守りシステム

 2005年度から2007年度まで総務省戦略的情報通信研究開発推進制度地域情報通信技術振興型研究開発(SCOPE-C)として「モバイルアドホックネットワークにおけるスケーラブルグループメンバー確認技術に関する研究開発」を実施しました.本研究開発の研究成果等の詳細については,http://www.nsw.info.hiroshima-cu.ac.jp/SCOPE-C を参照していただきたい.

 本研究開発では,まず,スケーラビィリティと移動速度の変化に適応するため,リアルタイム通信,ルーティングの効率化等の観点から,モバイルアドホックネットワークにおけるグループメンバー確認技術を開拓した.次に,これらの技術を応用して,広島市安芸区矢野南小学校における学校登下校時の児童見守りシステムを構築し,学区内においてモデル事業を運営し,地域社会における安心安全の確立に貢献した.

 児童見守りシステムの実用化,事業化を目指して,2009年度から2011年度まで科学研究費補助金基盤研究(B)「グループ活動見守りシステムに適用可能なモバイルアドホックネットワーク技術」においてAndroidを用いた児童見守りシステムの研究開発を行った.

3. ユビキタスネットワーク

 いつでもどこでも誰でも利用可能なユビキタスネットワークでは,ネットワークサービスの提供者および利用者は急激に増加する可能性が高くなる.このようなネットワークでは,提供者と利用者の自律的な仲介機能と利用者の要求に対するオンデマンドでのサービス提供機能が実現される必要がある.提供者および利用者の要求内容の変化に適応できる動的インデックスとネットワークサービス再構成について研究を進めている.

4. アドホックネットワーク

 通信インフラを持たないで,交換機能を有するノードとワイヤレスリンクで構成されるアドホックネットワークについて研究を進めている.このようなネットワークではノードの移動に伴いネットワーク形状が変化するので,ノードの集合であるクラスタやソースからデスティネーションまでの経路を維持するために,各ノードの局所情報に基づいて形状の変化に適応できるクラスタリングおよびルーティングを提案している.

5. センサネットワーク

 センサ機能ならびに無線通信機能を有するノードの集合から構成されるセンサネットワークについての研究を進めている.センサネットワークが利用される状況はさまざまだが,安価なノードを多数・広範囲に配置するような利用形態が想定される.この場合ノードはバッテリ駆動であり,しかも配置後に保守する(修理やバッテリ交換する)ことは考えられていない.このような利用形態の下,センサネットワークの長期間運用を可能とするような技術をルーティングなどのネットワークの立場から提案している.

6. アドホックネットワークの高度交通システムへの応用

 自動車にアドホック無線通信装置を搭載し走行させれば,このような自動車の集合はアドホックネットワークを構成する.VICSでは全体の道路網の渋滞情報を得ることができますが,この情報に従って自動車を走行させれば,渋滞していない場所に新たな渋滞が発生する.全体の道路網の渋滞情報を得るよりも,局所的な道路網の渋滞情報を得るほうが,渋滞を分散・平滑化することができる.アドホックネットワークに基づいて局所的な道路網の渋滞情報を得ることにより,渋滞を軽減する自動車走行制御について研究を進めている.

7. セキュアワイヤレス通信に関する研究

 ワイヤレス通信におけるセキュアな通信について研究している.端末への計算資源,ならびに電源などへの制約が大きいワイヤレス通信において,有線通信と比べて難しくなるデータや暗号鍵の漏洩などの問題を解決する手法について研究を進めている.これまでに,窃取や漏洩を防ぐため秘密分散法とよばれる手法を応用し,元データを複数の分散されたデータに変換することで,データ転送時の安全性を向上させる方法について提案している.提案法では,端末が攻撃者から不正に乗っ取られるという攻撃を想定している.

研究テーマの応用例

研究テーマ2.で推進している研究開発において登下校時における児童見守りシステムの研究開発を行っている.

児童見守りシステム.JPG

図1: 児童見守りシステム

広島市産業振興センター,広島市,広島市立大学,広島市教育委員会,KDDI,中国電力,中電技術コンサルタントで構成する協議会が提案していた児童見守りシステム(図1)が,総務省地域児童見守りシステムモデル事業に採択され,2007年9月から12月まで児童見守りシステムのモデル事業を運営した.児童見守りシステムは,研究テーマ2.で推進していた研究開発の成果に基づいて構築し,広島市安芸区矢野地区の矢野南小学校をモデル校として運営評価したものである.児童見守りシステムは,見守り活動を行うボランティアとともに児童がグループで登下校の際,タグの近くを通るとグループの代表の携帯電話端末から位置情報などが自動的に送信される仕組みであり,地域のボランティアの力とアドホック通信,タグなどのユビキタスネットワーク技術を組み合わせたことが特徴である.現在は,研究テーマ1.の中で研究を継続している.

研究テーマ4.で推進している研究は,災害時,イベント開催時など,固定電話網,インターネットなどの基幹ネットワークが使用できない場合でも,アドホックネットワークを用いて,端末の間で情報交換を行うコミュニティサービスに応用できる.

研究テーマ5.で推進している研究は,環境(温度,湿度など),状況(位置,速度など),識別(バーコード,ICタグなど)などの多様な情報を,センサネットワークを用いて収集し,ユーザニーズに応じた情報提示やサービス提供を行うことによって自動検針,見守り,ホームセキュリティ,交通制御などに応用できる.

研究テーマ6.で推進している研究は,VICSのようにすべての自動車に同じ渋滞情報を与えるのではなく,アドホックネットワークにより各自動車の走行に影響を与える周辺の渋滞情報のみを提供し,自動車の円滑な走行を実現するサービスに応用できる.

   


添付ファイル: file児童見守りシステム.JPG 432件 [詳細] file見守り.JPG 630件 [詳細] file市民球場.JPG 585件 [詳細]